為替エクスポージャーとは何か?
外貨資産を保有している企業では重要なキーワードとして着目されています。エクセルとシミュレーションを活用した計測方法については次の記事でご紹介しております。
為替エクスポージャーとは何か?
ドルや英ポンドなどの通貨変動は、原材料費、売上、さらには市民生活へと大きく影響を及ぼします。今回取り上げる「為替エクスポージャー」も為替変動と大きく関係がある言葉なのですが、違いとして「原材料費の高騰による製造原価の上昇」や「販売価格の下落による売上高の低下」のような企業活動の一部分ではなく、企業の財務活動全体に影響を及ぼすものである点が挙げられます。
「エクスポージャー」は、東海東京証券様の用語集(外部リンク)で、以下のように解説されています。
エクスポージャーとは、投資家が持っているポートフォリオの中で、直接的に関わってくる特定のリスクにさらされている、資産の割合のことを表す物です。またこれ以外にも、市場の価格変動の影響度合いを意味する感応度として用いられる場合があります。株式における先物が、債券におけるデュレーションやコンベクシティが、それぞれこのエクスポージャーの調整で利用されます。英語表記はExposureとなっています。
解説には特定のリスクとありますが、リスクにされされている資産のうち、特に為替の変動に着目したものが為替エクスポージャーとなります。例えば海外に拠点を持つ企業、特に製造業においては該当するケースが多いのではないでしょうか。
為替エクスポージャーが多いときに発生する問題
エクスポージャーが多いとどのような問題が起こるのでしょうか、いくつか例を考えてみます。
例1: 海外拠点での売上高のリスク
アジアの新興国でビジネスを行っているX社は、現地の大手販社に製品を販売した。現在の日本円に換算すると約10億円の売上であるが、入金は現地通貨で2ヵ月後に行われることになっている。2ヵ月後、現地通貨が大幅な円高となってしまい日本円換算で約9億円の入金にとどまってしまった。
例2: 海外銀行からの借入金のリスク
海外拠点の運営費用として、アメリカの銀行から日本円相当で約11億円を米ドル建てで借り入れた。1年後、返済しようとしたところ、急激な円安によって返済額が約12億円に膨らんでいた。
これらは単体で見ると数値的には小さいものかもしれませんが、同じような事象が何件も積み重なると、為替変動だけで企業は大きな損害を被る可能性が出てきます。
このような事態を避けるためには、為替スワップや先物取引などでリスクヘッジを行う必要があります。すべての外貨取引をヘッジすることができればよいのですが、ヘッジにもそれなりのコストがかかるためすべてをヘッジすることは現実的ではありません。そのため、どの通貨をどれくらいヘッジすればよいのかを把握することが求められます。
モンテカルロ・シミュレーションを活用した為替エクスポージャーの把握
通貨が将来的にどのように変動するかを把握する必要がありますが、よく用いられるのは、為替がランダムウォークするという前提に立った計算・シミュレーションとなります。これについては次の記事で解説します。
ここでご紹介した為替エクスポージャーの把握ですが、製造業をはじめ様々な企業で実践されています。実際にはツールで運用されることが多く、リスク分析に活用されるCrystal Ball というExcel アドインをご利用いただいております。以下に資料をまとめておりますので、ぜひご覧ください。